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外注では勝てない理由。中の人が伝える「温度感」の正体【中小企業のためのコンテンツマーケティング】

外注か、内製か、AIか?

(これは「中小企業のためのコンテンツマーケティング」第3回記事です。)

コンテンツマーケティングを本格的に拡大しようとする際、特に中小企業が直面するのが「リソースの限界」ではないでしょうか。
私自身、長らく1人SEO担当だったため「どこまで自分でやるのか」「社内にどう協力してもらうか」「どこをどう外注するか」など、ずっと悩まされてきた問題です。

立ちはだかるリソースの壁

2015年当時、私のいた業界ではまだ大手のSEO記事も少なく、今振り返ればチャンスの時期でした。初めてSEO対策らしい手段に乗り出した当初は、一般理論に則ってキーワードを選定し、私を含めた3名体制で、それぞれ記事を作成し公開していきました。CMS(HTMLやCSSの知識がない人でも、Webサイトの更新ができるシステム)を導入したので、画像とテキストを用意すれば、すぐに記事を公開することができる環境でした。

月1人1、2本の記事公開でしたが、結果的には1年後にサイト流入数は2倍以上となり、過去最高売上を達成し、戦略は成功しました。

しかし、月日が流れるにつれ、他の業務に押される形で制作体制は2名、1名と縮小していきます。「戦略的な外注活用」を模索せざるを得なくなったのは、そんなタイミングでした。

〈1〉効率を求めて見えてくる外注の限界

その後、キャンペーンLPや商品紹介ページ、お客様の声、SEO記事など、多い月は10ページものコンテンツを制作して公開する、サイト運用&SEO担当になっていった私は、経験を積めば積むほど、オウンドメディアの可能性や重要性に気づかされていきます。

SEOには即効性がないという理由から、長らく広告やSNSに予算が割り当てられていましたが、上層部もいよいよその限界を感じた頃、本格的にSEO対策に乗り出す方針がとられます。SEOコンサルタントを迎え、サイト改修に取り掛かることになったのです。

自社サイトは500以上のデザインを取り扱うブランドサイトとオンラインショップ、オウンドメディアを兼ねて複雑に絡み合う中規模サイトでした。SEOコンサルタントとWEB制作会社との3社協力で、メインサイトの裏側や表側に修正を加えながら、一方でコラムの記事公開のペースアップを提案されます。

もちろん、最初から外注先にすべてを期待していたわけではありません。
既に5年ほど記事制作に携わっていた経験から、「自社の独自技術やこだわりについて、背景を知らない外部の人が書けるはずがない」と分かっていたからです。

そこで、相場や一般常識などの「基礎知識」の記事制作を外注し、そこに私が独自情報を加えて補完する「ハイブリッド型」の体制を組みました。
実際に成果が出た記事もありましたが、運用を続ける中で、効率化だけでは解決できない現実が見えてきました。それが、以下です。

【専門性の説明コスト】
外注担当者が専門家でない場合、素材や技術に関する化学的知識、ブランディングを正しく反映させるための説明に膨大な時間を取られました。

【トーン&マナーの統一】
 納品される記事は、情報の整理としては正確でも、大手メディアのような無機質な雰囲気になりがちでした。また、企業理念とかけ離れた表現も見られ、それを理解してもらったり修正したりする手間がありました。

【陳腐な画像はもったいない】
商品の見た目の特性上、画像検索での優位性も強みの1つだったので、画像づくりにも力を入れてきましたが、画像づくりこそ外注に向きませんでした。フリー素材のイメージ画像では差別化ができず、説得力が生まれません。結局すべて社内に蓄積された画像を探したり、撮影したりして、差し替える手間が発生しました。

効率を求めて外注したとしても、最終的な仕上げには必ず「中の人の手」が必要です。そして、外注要素が増えれば増えるほど、コンテンツとしての質も下がることを実感しました。
ただ、記事のSEO効果が出るには、数か月かかります。まずは公開しながら、時間を見つけて修正を加えるという方法でやっていきました。

【2】 プロより「発信に抵抗のない社員」が強い理由

こうした経験を経て気づいたことは、社内に「情報発信に抵抗がない社員」がいれば、その人は外注のプロライターよりも、はるかに立派なSEO戦力になるということです。

もちろん、文章力に長けた「適性のある担当者」が一人いれば心強いのは確かですが、中小企業において一人がすべてを背負う運用には、大きなリスクが伴います。その担当者の手が回らなれば、積み上げてきた発信が途絶え、会社としての資産形成が止まってしまうからです。

そういう意味でも、メインの担当者がいたとしても、それをサポートする人材が配置されていることが理想です。特定の誰かのスキルに依存するのではなく、皆が自社の情報発信する一員だという意識を社内に広げておくことが重要です。

【外注記事】
正確だが、誰が言っても同じ一般的な解説。

【中の人の記事】
多少不器用でも、理念が言葉の端々に宿る、企業からお客様への「メッセージ」

たとえ文章が苦手だと感じている社員であっても、現場でお客様と常に向き合っているなら、その人は外注ライターが喉から手が出るほど欲しい「深い顧客心理への理解」や「一次情報」を持っています。半年に1記事、1年に1記事のスローペースでも構いません。複数の社員が「社内の視点」で発信に参加する体制は、外注記事を何十本揃えても勝てない、強固な「組織の武器」となるのです。

この「言葉の体温」こそが、比較検討しているユーザーが最後に「やっぱりこの会社にお願いしよう」と決断する、最大のフックになります。
たとえ半年に1記事、1年に1記事のスローペースであっても、中の人の視点で書かれた文章には、外注記事を何十本揃えても勝てない「重み」があるのです。

〈3〉中小企業が取るべき「ハイブリッド制作体制」

以上のことをふまえると、「自社サイトの発信を強化したいが、書く時間が足りない」という問題に直面したとき、今の私たちが選べる選択肢は大きく分けて3つあります。

  1. 内製: 中の人がすべて書く(熱量は高いが、時間がかかる)

  2. 外注: プロのライターに依頼する(質は安定するが、自社らしさが薄まる)

  3. 生成AI: 最新ツールで自動生成する(スピードは最速だが、温度感に欠ける)

その中で、リソースの少ない中小企業が、質と量を両立させるための現実的な提案は、自社のリソース・外注・AIを組み合わせた「ハイブリッド運用」です。

①まず「中の人の視点」でラフに書く
完璧な文章でなくて構いません。現場の一次情報を箇条書きや音声入力でまとめます。これこそが、外部のライターやAIが決して真似できない記事の「温度感」になります。

② 外注(プロのライター)に「仕上げ」を依頼する
専門性の高い内容や、ブランドの格を左右する重要な記事は、プロのライターや編集者に「リライト」を依頼します。「ゼロから書いてもらう」のではなく「中の人の言葉をプロに磨いてもらう」という順序にすることで、説明コストを抑えつつ、自社の想いが正しく伝わる高品質な記事が完成します。

③生成AIを「骨格作り」に活用する
近年、急速に普及している生成AI。あなたが生成AIを正しく安全に使えるなら、時間も費用も大幅に抑えられるでしょう。役割やテーマ、過去記事のトーンをAIに学習させ、記事の骨格や下書きを作らせます。

ただし、AI特有の無難で淡々とした言い回しは「温度感の欠如」に直結し、誤情報(ハルシネーション)のリスクもあります。AIが作った骨格に、必ず人間の手によるファクトチェックと一次情報を加える。このステップが品質維持には不可欠です。

生成AIを使って効率化

「外注に丸投げ」するのではなく、「中の人の言葉をプロに磨いてもらう」、あるいは「骨格をAIが作り、中の人が魂を吹き込む」。自社の温度感を保ったまま、高いクオリティの記事を公開し続けるには、この「自分たちが主導権を握る体制」が欠かせません。

【実体験】「一次情報」は大手をを超える強みになる

2015年以降、私たちが成果をあげられたのは、単に有効なキーワードを選んだからではありません。
顧客心理を理解している私たちが、
現場にあるお客様の声や疑問に応えた情報、あるいはお客様が興味を持ってくれそうなコンテンツを、試行錯誤しながら自分たちの言葉で発信し続けたからです。
また、中小企業ならではの迅速な意思決定や機動力、新しいことをどんどん試せる柔軟性も、大手に勝る強みだったと言えるでしょう。

お客様が求めているのは、綺麗な一般論ではなく、信頼できる「中の人の生きた言葉」や「実際のお客様の声」です。その言葉がサイトに蓄積されているからこそ、第2回でお伝えした「広告というガソリン」を注いだときに、ビジネスが一気に加速するのです。

まとめ:あなたの言葉が、最大の資産になる

外注という選択肢を経験したからこそ、私は「中の人の言葉」の価値を再認識しました。
プロのような華やかな文章を目指す必要はありません。中の人にしか出せない温度感を、実直に届けること。それこそが、大手企業の資本力に立ち向かい、比較検討の波を勝ち抜くための中小企業の「生存戦略」なのです。


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本記事は連載シリーズです。第1回から順にお読みいただくことで、中小企業が大手と戦うための「自社サイト活用術」の全体像を掴んでいただけます。